○富谷市子どもにやさしいまちづくり条例
令和8年3月15日
条例第4号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 こどもの権利の推進(第4条―第7条)
第3章 子どもにやさしいまちづくりの推進(第8条―第17条)
第4章 子どもにやさしいまちづくりを推進するための取組(第18条―第23条)
第5章 子どもにやさしいまちづくりに関する施策の推進(第24条―第26条)
第6章 雑則(第27条)
附則
「富谷市には 大きい山がない 大きい川にも恵まれない 海にも接していない 豊かにあるのはこどもたちだ この子らをまちの財産にしたい みんなで育てたい」
私たちはこの願いのもと,こどもたちを大切に思う気持ちを受け継ぎ,地域で健やかに育くむために,平成30年より子どもにやさしいまちづくりを推進してきました。
全てのこどもは,今を生きる,かけがえのないひとりの人間として尊重されるべき大切な存在です。そして,生まれながらにして幸せな人生を送るための様々な権利をもっています。
大人もこどもも,一人ひとりの個性や権利が自分にも他の人にもあることを理解し,お互いを大切にすることが大事です。
また,大人はこどもの権利を守るとともに,こどもが挑戦や失敗をくり返し,有する力を発揮しながら成長していく姿を応援します。そして,地域でこどもを見守るやさしいまちは,こどもをはじめ,全ての人にとって心豊かで平和に暮らせるやさしいまちになります。
富谷市の全てのこどもたちが幸せな人生を送るために,また,こどもたちが郷土を愛し誇れるまちづくりを推進していくために,この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,日本国憲法,児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)及びこども基本法(令和4年法律第77号)の理念に基づき,こどもの権利を保障し,地域全体で子どもにやさしいまちづくりを推進することにより,こどもが生涯にわたり希望を持ち他者を思いやる心を育みながら幸せに暮らすことのできるまちを実現することを目的とします。
(1) 子どもにやさしいまちづくり 子どもの権利条約の理念に基づきこどもの権利を尊重し,こどもにとって最もよいことが優先して考慮され,こども・子育て支援に富谷市全体で取り組むまちづくりをいいます。
(2) こども 心身の発達の過程にある者をいいます。
(3) 保護者 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する保護者及び祖父母や里親その他こどもを養育する者をいいます。
(4) こどもが育ち学ぶ施設及び団体 児童福祉法に規定する児童福祉施設,学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校,社会教育法(昭和24年法律第207号)に規定する社会教育に関する施設その他こどもが育ち学ぶことを目的として利用する施設及び活動する団体をいいます。
(5) 地域住民 市内に在住,在勤若しくは在学をする者又は市内で市民活動を行う団体をいいます。
(6) 事業者 市内で事業活動を行う個人又は法人その他団体をいいます。
(基本理念)
第3条 子どもの権利条約に基づき,次の各号を基本理念とし推進します。
(1) こどもが大切に育てられ健やかに成長できること
(2) こどもが安心安全に暮らすことができること
(3) こどもが友だちと交流し,楽しく遊び学べること
(4) こどもが地域社会の絆の中で役割を持ち,活き活きと参加できること
(5) こどもの意見を聴き,まちづくりに活かすこと
第2章 こどもの権利の推進
(こどもの権利)
第4条 こどもは,子どもの権利条約に定められた全てのこどもの権利が尊重され,今を生きる一人の人間として,一人ひとりの成長や発達段階,個性等も踏まえて健やかに生き育つことが保障されます。
2 こどもの権利は,こどもが成長発達するために必要不可欠なものであり,義務や責任の対価として与えられるものではなく,こどもの権利に対して義務や責任を負うのは大人です。
(子どもの権利条約の4つの原則)
第5条 こどもの権利を保障するにあたっては,次の各号で定める4つの原則を守り推進していくこととします。
(1) 命を守られ成長できること
全てのこどもの命が守られ,心も体も健康に自分らしく過ごし,持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう,医療,教育,生活への支援などを受けることを保障します。
(2) こどもにとって最もよいこと
こどもに関することが決められ,行われる時は,年齢や発達段階に応じてこどもの意見や気持ちを十分に聴きながら,また,悩みや困りごとを相談できるよう配慮し,「そのこどもにとって最も良いことは何か」を第一に考えます。
(3) こどもが意味のある参加ができること
こどもは,年齢や発達段階に関わらず自分に関係のある事柄について,言葉や様々な方法によって自由に意見を表すことができます。大人は,その意見を尊重し受け入れ,こどもの発達に応じて十分に考慮し,丁寧に説明を行います。
(4) 差別のないこと
全てのこどもは,こども自身や親の人種,外見,名前,国籍,性,意見,障がい,経済状況等いかなる理由でも差別されず,子どもの権利条約の定める全ての権利が保障されます。
(こどもの権利の普及)
第6条 市は,こどもの権利について,こども,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者が学び,理解するために周知し,その普及に努めます。
(こどもの権利が侵害されている状態からの救済)
第7条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,いじめ,虐待や暴力等によるこどもの権利が侵害されている状態を早期に発見し,協力及び連携のもと,権利が侵害されている状態からの回復のため,救済に努めます。
2 市は,こどもが権利を侵害され,又は不利益を受けた場合等において,適切かつ迅速にこどもの救済を図ることができるよう,体制を整備し,その他必要な取組を行うよう努めます。
第3章 子どもにやさしいまちづくりの推進
(子どもにやさしいまちづくりの推進)
第8条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こどもの権利を理解し,こどもにとっての最善を考え,必要とする関係機関と連携及び協力し,子どもにやさしいまちづくりを推進します。
(こどもの育ちの支援)
第9条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こどもの健やかな育ちを支援するため連携及び協働し,こどもが安全で良好な環境のもと,心身の健康の維持及び増進が図られるよう努めます。
(特別な配慮を必要とするこどもと家庭への支援)
第10条 市,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,障がいのあるこども,経済的に困難な家庭のこども,虐待を受けたこどもその他特別な配慮が必要であると考えられるこどもとその家庭に対し,関係機関と連携を図りながら適切な支援に努めます。
(こどもが安心安全に暮らすことのできる環境づくり)
第11条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こどもが権利侵害を受けることなく安心して生活し学ぶことができる環境づくりを推進します。
2 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こどもを犯罪,交通事故,災害の被害,その他のこどもを取り巻く有害及び危険から守るための安全な環境づくりに努めるとともに,こどもが自分自身を守る力を育むために必要な支援に努めます。
(こどもの相談)
第12条 市は,こども及びその保護者の支援の充実を図るため,こどもに関する問題について安心して相談することができる総合的な体制づくりを推進します。
2 市,こどもが育ち学ぶ施設及び団体及び地域住民は,こどもが抱える様々な悩みに対して,こども自身が相談し,救済を求めることができる機会の確保に努めます。
3 市は,こどもからの相談を受けた場合は,こどもの意見を十分に尊重し,本人の同意のもと,関係機関と協議及び連携し,適切に対応するものとします。ただし,生命及び身体等の保護のために必要な場合,又はこどもの健全な育成の推進のために特に必要がある場合には,本人の同意を待たず大人の判断で適切に対応するものとします。
(こどもの居場所づくり)
第13条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こどもが自分らしく安心して過ごすことができ,様々な遊び,体験,こども同士の交流等により,心豊かな自己を育むことができる居場所づくりに努めます。
(こども一人ひとりに応じた学びの環境づくり)
第14条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こども一人ひとりの心身の状況,置かれている環境等に応じて,こどもが望む形で学ぶことができる環境づくりに努めます。
(こどもの意見等の表明及び参加)
第15条 こどもは,家庭,地域及び市政に対して自分の意見等を表明することができるとともに,意見を表明する機会に参加することができます。
(こどもの意見等の表明及び参画する機会の確保)
第16条 市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者は,こどもを個人として尊重し,前条に定める意見等の表明及び参加ができるよう,こどもの発達段階に配慮しつつ,多様な方法でこどもの参画の機会を確保するものとします。
(こどもの意見の聴取)
第17条 市は,こどもに関わる施策に,多様な方法でこどもの意見を求めるよう努めます。
2 市は,聴取したこどもの意見を市の施策に反映するよう努めます。
第4章 子どもにやさしいまちづくりを推進するための取組
(こどもの取組)
第18条 こどもは,この条例の基本理念に基づき,こどもにとって大切な権利を守ってもらうことができます。
2 こどもは,自らの心と体及び個性を大切にします。また,自分の権利を守るとともに,こども同士もお互いの個性や権利を認め合い,思いやりや優しさをもつことの大切さを学びます。
(市の取組)
第19条 市は,こどもの権利を保障するため,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者と連携して,こどもの視点に立った,子どもにやさしいまちづくりに取り組みます。
2 市は,こどもに関する施策を推進するため,必要な財政上の措置その他の措置を講じるよう努めるものとします。
3 市は,こどもに関する保護者の相談並びにこどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者の相談に応じ,支援し,必要に応じて協働で取り組みます。
(保護者の取組)
第20条 保護者は,こどもの養育,発達及び権利の保障について最も重要な責任を持つべき存在であり,家族とともにそのこどもにとって最も良いことは何かを考えてこどもを養育します。
2 保護者は,必要に応じて,市,こどもが育ち学ぶ施設及び団体及び地域住民に相談し,支援を求めます。
(こどもが育ち学ぶ施設及び団体の取組)
第21条 こどもが育ち学ぶ施設及び団体は,こどもが安心して安全に過ごすことのできる環境をつくるとともに,こどもが学び,体験や遊びを通じて健やかに育つことができる機会を確保します。
2 こどもが育ち学ぶ施設及び団体は,こどもの発達に応じた必要な支援を行うよう努めます。
3 こどもが育ち学ぶ施設及び団体は,こどもが自分で考え,学び,活動することができるよう支援を行い,こどもの権利が大切に守られるよう努めます。
4 こどもが育ち学ぶ施設及び団体は,こどもがこどもの権利を理解し,他者の権利を尊重しながら生活することができるよう必要な指導及び支援に努めます。
(地域住民の取組)
第22条 地域住民は,こどもの健やかな育ちを地域全体で支援することを理解し,こどもの権利が大切に守られるよう努めます。
2 地域住民は,市と共に地域でこどもを見守り,こどもが安全に安心して過ごすことのできる地域づくりに努めます。
3 地域住民は,地域における活動においてこどもの意見を尊重し,こどもが希望する場合には,役割を持ち,活き活きと参加できるよう努めます。
(事業者の取組)
第23条 事業者は,こどもを養育する者が子育てと仕事を両立することができるよう環境を整え,こどもに不利益が及ばないよう必要な配慮に努めます。
2 事業者は,こどもが地域社会との関わりをもって育つことの大切さを理解し,市,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体及び地域住民が行う子どもにやさしいまちづくりを推進するための取組への協力に努めます。
第5章 子どもにやさしいまちづくりに関する施策の推進
(子どもにやさしいまちづくりの推進体制)
第24条 市は,全庁挙げて子どもにやさしいまちづくりを推進していくため,施策の総合的な調整及び推進を図る富谷市子どもにやさしいまちづくり推進庁内連携会議を設置し,こどもに直接関わりのある部署のみならず全部署が積極的に取り組む体制を構築します。
(子どもにやさしいまちづくりに関する普及啓発)
第25条 市は,こども,保護者,こどもが育ち学ぶ施設及び団体,地域住民及び事業者に対して,子どもにやさしいまちづくりの広報及び普及啓発に努めます。
(子どもにやさしいまちづくりに関する計画等の進行管理)
第26条 市は,子どもにやさしいまちづくりに関する計画及び子どもにやさしいまちづくり事業の評価を,富谷市子どもにやさしいまちづくり推進庁内連携会議において進行管理するものとします。
2 市は,子どもにやさしいまちづくり事業の評価を定期的に実施するとともに,結果を公表し,こどもを含めた市民からの意見聴取を行うものとします。なお,公表にあたっては,こどもが理解しやすいよう努めるものとします。
第6章 雑則
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に必要な事項は,市長が別に定めるものとします。
附則
この条例は,令和8年4月1日から施行する。