○富谷市債権管理条例

令和3年3月16日

条例第1号

(目的)

第1条 この条例は,市の債権の管理に関し必要な事項を定めることにより,債権の管理の適正化を図り,もって市の公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利をいう。

(2) 市税 市の債権のうち,地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係る債権をいう。

(3) 公債権 市の債権のうち,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第231条の3第1項に規定する分担金,使用料,加入金,手数料及び過料その他の普通地方公共団体の歳入に係る債権をいう。

(4) 強制徴収公債権 公債権のうち,法第231条の3第3項に規定する分担金,加入金,過料又は法律で定める使用料その他の市の歳入に係る債権をいう。

(5) 非強制徴収公債権 公債権のうち,強制徴収公債権以外の債権をいう。

(6) 私債権 市の債権のうち,市税及び公債権以外の債権をいう。

(7) 非強制徴収債権 非強制徴収公債権及び私債権をいう。

(他の法令等との関係)

第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については,法令又は他の条例若しくは規則(法第138条の4第2項に規定する規程及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程を含む。次条において同じ。)に特別の定めがある場合を除くほか,この条例の定めるところによる。

(市長の責務)

第4条 市長(富谷市水道事業の設置等に関する条例(昭和51年富谷町条例第14号)第4条第2項の規定する水道事業の管理者の職務を行う市長を含む。以下同じ。)は,法令,条例又はこれらに基づく規則の定めるところにより,市の債権を適正に管理しなければならない。

2 市長は,市の債権の管理に関する事務の状況の把握に努め,市の債権を適正に管理するための適切な措置をとるものとする。

(台帳の整備)

第5条 市長は,市の債権について,債権者として行うべき保全,取立て,内容の変更及び消滅に関する事務を適正に管理するため,規則で定める事項を記載した台帳を整備する。

(督促)

第6条 市長は,市の債権について,履行期限までに履行しない者があるときは,法令の定めるところにより,期限を指定してこれを督促しなければならない。

(延滞金等)

第7条 市長は,市の債権について,債務者が履行期限後に当該債権を弁済する場合においては,法令,条例,規則又は契約に基づき,債務の履行の遅滞に係る延滞金又は遅延損害金,損害賠償金その他の徴収金を弁済させなければならない。

(遅延損害金)

第8条 市長は,私債権について,履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ,当該債権の金額につき民法(明治29年法律第89号)第404条に規定する法定利率の割合に乗じて計算した遅延損害金(その額に100円未満の端数があるときは,その端数を切り捨てる。)を加算して徴収するものとする。ただし,遅延損害金について,契約に別段の定めがある場合は,その定めるところによるものとする。

2 前項に規定する年当たりの割合は,じゅん年の日を含む期間についても,365日当たりの割合とする。

3 市長は,私債権について,履行期限までに納付しなかったことについてやむを得ない事由があると認める場合においては,当該私債権に係る遅延損害金を減額し,又は免除することができる。

(滞納処分等)

第9条 市長は,市税及び強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予,換価の猶予及び滞納処分の執行の停止については,法令又は条例の規定によりこれを行わなければならない。

(強制執行等)

第10条 市長は,非強制徴収債権について,第6条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは,次に掲げる措置をとらなければならない。ただし,第13条の規定により徴収停止の措置をとる場合又は第14条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は,この限りでない。

(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを含む。)については,当該非強制徴収債権の内容に従い,その担保を処分し,若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり,又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については,強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴収債権で同号の措置をとってもなお履行されないものを含む。)については,訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第11条 市長は,市の債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは,遅滞なく,債務者に対し,履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし,第13条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は,この限りでない。

(債権の申出等)

第12条 市長は,市の債権について,債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において,法令の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは,直ちに,そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか,市長は,市の債権を保全するため必要があると認めるときは,債務者に対し,担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め,又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第13条 市長は,非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて,次の各号のいずれかに該当し,これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは,以後その保全及び取立てをしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し,将来その事業を再開する見込みが全くなく,かつ,差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり,かつ,差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で,取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

2 市長は,前項の措置をとった後,事情の変更等によりその措置を維持することが不適当となったことを知ったときは,速やかに,その措置を取りやめなければならない。

(履行延期の特約等)

第14条 市長は,非強制徴収債権について,次の各号のいずれかに該当する場合においては,その履行期限を延長する特約又は処分(以下「履行延期の特約等」という。)をすることができる。この場合において,当該非強制徴収債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,その現に有する資産の状況により,履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害,盗難その他の事故が生じたことにより,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため,履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る債権について,債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において,当該第三者に対する貸付金に関し,第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により,当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため,当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 市長は,履行期限後においても,前項の規定により履行延期の特約等をすることができる。この場合においては,既に発生した履行の遅延に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る市の債権は,徴収すべきものとする。

(免除)

第15条 市長は,前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約等をした非強制徴収債権について,当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約等をした場合は,最初に履行延期の特約等をした日)から10年を経過した後において,なお,債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,かつ,弁済することができる見込みがないと認められるときは,当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は,前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る非強制徴収債権で,同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については,債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(債権の放棄)

第16条 市長は,非強制徴収債権について,次の各号のいずれかに該当する場合においては,当該債権及びこれに係る損害賠償金等を放棄することができる。

(1) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け,又はこれに準ずる状態をいう。)にあり,資力の回復が困難で,当該債権について履行の見込みがないと認められるとき。

(2) 当該債権(消滅時効について時効の援用を要しないものを除く。)について,消滅時効に係る時効期間が経過したとき。

(3) 債務者が死亡し,その債務について限定承認があった場合において,その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに当該債権に優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の権利の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。

(4) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定により,債務者が当該債権についてその責任を免れたとき。

(5) 第10条に規定する強制執行等の手続又は第12条に規定する債権の申出等の措置をとってもなお完全に履行されない当該債権について,当該手続又は措置が終了した場合において,債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,資力の回復が困難で,履行の見込みがないと認められるとき。

(6) 第13条に規定する徴収停止の措置をとった当該債権について,当該措置をとった日から相当の期間を経過した後においても,なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,資力の回復が困難で,履行の見込みがないと認められるとき。

(7) 債務者が死亡,失踪,行方不明その他これらに準ずる事情にあり,当該債権について徴収できる見込みがないと認められるとき。

(議会への報告)

第17条 市長は,前条の規定により非強制徴収債権を放棄したときは,これを議会に報告しなければならない。

(情報の利用)

第18条 市長は,市の債権が履行期限までに履行されず,かつ,第9条から第16条までに規定する措置のいずれかをとるに当たって,市が保有する滞納者(市の債権に係る金銭債務を履行期限までに履行しない者をいう。以下同じ。)に関する情報を,当該措置の判断に資する事項に限り,実施機関(富谷市個人情報の保護に関する法律施行条例(令和5年富谷市条例第2号)第2条第2項に規定する実施機関をいう。)内部において利用することができる。

2 市長は,前項の規定により債務者の個人情報を利用する場合は,地方税法、個人情報の保護に関する法律及び富谷市個人情報の保護に関する法律施行条例その他法令の規定を遵守し,かつ,当該債務者及び第三者の権利利益を不当に侵害することのないようにしなければならない。

(令5条例2・一部改正)

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

この条例は,令和3年4月1日から施行する。

(令和5年条例第2号)

(施行期日)

第1条 この条例は,令和5年4月1日から施行する。

富谷市債権管理条例

令和3年3月16日 条例第1号

(令和5年4月1日施行)